
ALT 戯曲作家の息子トレープレフの母であり、女優でもあるアルカージナ。(役、関根美穂さん) 彼女の生き様は正しく天衣無縫であった。 欲に正直であり、自分の価値を理解し、言い方を悪くすれば強かな人物。 それでも人が集まる理由はそれだけの魅力が彼女にあるからにほかならない。 片田舎で自然に囲まれながらインスピレーションを得て戯曲を書き続ける息子に愛想をつかすと共に、その成長も期待している。 アルカージナの見せる母としての顔は決して良いものばかりではない。 突き放すこともまた愛なれど、息子が嫌っている男と共に都会へ行ってしまう。 自立させるためになのか、それとも欲に忠実なだけなのか、その本心は考えれば考えるほど困難を極めた。 女優だから本心は見せないというのが真意なのかもしれない。 いつかトレープレフの書いた戯曲を舞台で演じた時に、衝突しながらもその舞台で脚光を浴びるアルカージナの姿も想像してみた。 様々な男を魅了し、それは息子も例外ではなかったのかもしれない。 トレープレフは自己顕示欲の塊もあったけど、母の愛に飢えたいわゆるマザコンでもあった。 そんな息子の最後を母は動じることなく、本当に知らなかったのかもしれないけど客間での談笑で舞台は幕を下ろす。 終演後に関根美穂さんと初の面会、その時の真意を伺ってみたのですが巧みに躱された。 と言うよりもその先の描写がないのだ。 だから想像に任せるしかない。 俺なりの結論はアルカージナは他の人の目がある以上、女優である自分が演劇以外で人前で涙は見せられない、だから息子の死を悟りつつも豪胆であり続けたのだと思った。 血も涙もなかったわけではないんだ。 いわばメンヘラだと思う。 それでも彼女は後悔しないと思う。 それが彼女の魅力を繋ぎ続けるものならば、彼女はそれに対して妥協しないと思う。 「いつかあなたもあの人のことを好きになれるわ」 それは彼女自身の願いだったのか、それともトレープレフへの御為倒しだったのか。 死してそれを悟れなかったドレープレフには伝わらないのが少し悲しかった。 アルカージナは女優であり続けた。 それがたった一人の家族の前でも仮面を脱がなかった唯一の悲しみだった。 その優しい女性の顔が少しでも伝わっていたならば、息子は自分を奮起し続けていたかもしれない...。







































