進物場を見ていて思い出したのは、参勤交代で江戸にいる大名などは、全人員を国から連れてくるのは大変なので、登城のときだけ日雇いの中間(ちゅうげん)を雇うことがあった、という話です
史実と敢えて混同しますが、吉良上野介は身分は高いものの、そこまで石高が大きいわけではなかったことを思うと、進物場での師直の中間たちも日雇いのアルバイト中間の可能性もあるのかな…などと考えた次第です
Bプロ 大序〜喧嘩場
とても良いです
アンサンブルという点ではAプロより私の好みに合っているかも知れません(良し悪しではないですよ)
そしてAプロで気になった大序での師直と若狭之助の居所、Bプロではしっかりと中央よりやや下手寄りで芝居が進むので、若狭之助が投げる扇は綺麗に銀杏の木へ向かって(今日はギリギリ奥側にいきましたが)飛んでいきました
これは歌昇さんが顔世を退出させる際に、ほんのわずかですが、きちんと下手に居所を置くからで、彌十郎さんの師直との位置関係が調整されるためです
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米吉さんの直義、じっくり見て感じたのは将軍の弟という気位の高さ。貴人としてのプライドがあり、生まれついて高位にある人の空気感が素敵
歌昇さんの若狭之助も非の打ち所がなく、癇性で正義感が強く、融通の効かない様子まで、その名の通りの理想的な若狭だと思います
彌十郎さんの師直には、まずは歌舞伎座で師直を演じることになるまでの長い時間を思って感無量。その上で、地道に積み上げてきた地力が物を言って、とても良い師直だと思いました。どこまでも手強く時代に押していく感じも彌十郎さんの芸風に合っているし。今後も重ねて演じてほしいですね
そして、七之助さんの判官。右近さんがとても良かったので、それも意識しながら拝見。
お父様の柔らかな持ち味と違い、面白いもので、女方メインであるのに、七之助さんの持ち味はやはり鋭さを秘めた美しさなんですよね
なので、まったく同じに演じても雰囲気が異なり、穏やかな判官の奥底にある、実は着火しやすい気性が見えるようで、とても面白いと感じました
彌十郎さんとの相性も良く、この後の四段目もとても楽しみです
たいへん感覚的で、全く客観性のない、ごく私的な感覚としてお読みください
今月の忠臣蔵を含め、最近の歌舞伎を振り返るに、私は物語を表現するという総体的な仕上がりの素晴らしさとは別に、役者さんの芸が滲み出る一瞬─断片と言ってもいい─を“歌舞伎の芸の魅力”として愛しているのだなぁ…と思うんです
私の場合、最終的に記憶に突き刺さるのは「勘平の悲しい運命」とかではなくて、二人侍を迎え入れる際の、勘平が膝にトンと置いた手を滑らせておこつく一瞬(隼人さんはやりませんが)の、その間の良さ、面白さだったりします
今月なら、又五郎さんの数右衛門が、勘平の背中に手を当てる、その手のひらとか
そうした物語の骨格とは、まぁほぼ関係ないところ─しかし、そこに役者の積み上げてきた芸の深奥が現れてくるような断片─に惹かれるのです
で、改めて思うのは、おそらく若手の活躍に、私が今後さらに期待するのは、やはりそうした記憶に刺さる断片が芝居の中に現れてくることなのだろうな、と
なんかそんなことを、とりとめもなく考えつつ、歌舞伎座昼の部、Bプロに参ります
今日は六段目の勘平を見ながら、中村仲蔵の工夫はもちろん素晴らしいのだけど、菊五郎型の勘平の大胆な改変も、初めて見た人はたまげたんだろうなぁ…と
衣装も違えば、段取りも違い、科白まで大量に書き加えられているわけですからねぇ
そう言えば、どうでもいいことかもしれませんが、七段目で由良之助が九太夫を組み敷いて
シジュウヨニンの者どもが
親に離れ、子に離れ、
一生寄り添う女房に君傾城の…
という科白あるじゃないですか
あれ
四十余人
なんですよね
つまり「四十人余りの者どもが」という意味であって、四十四人に減ったわけじゃないというねww
終演しました
七段目、とても良かったです
松緑さんの平右衛門、今回はたしか前回演じた時からかなり変えている気がします(記憶が確かなら…ですが)
七段目の平右衛門は、役者さんごとにかなり違うのですが、今回は松緑さんなりに何度も演じてきて、思うところがあったのかな、と
歌舞伎の入れごとの部分をグッと引き締めていて上演時間が短いわけではないのに、短く感じるのが不思議
右近さんも七段目は「ここは自分の見せるところ」というのを、先輩二人の胸を借りながら存分に出していて、私の好きな右近さんでした
特に入れごとの部分は自由度が高いので、右近さんの女方に漂う小悪魔的な魅力とお軽のキャラクターがぴたりとあって、とても可愛かったですねぇ
そして、勘平の死を知った時の「脳がその情報が入ってくるのを拒否している」ような表情が目に焼き付きました
あそこで、ハッキリと横倒しに倒れるお軽、他にはあまり印象になくて、今日はそこも強烈な印象でした
二度目の夜の部、本日はBプロ
隼人さんの勘平、本当に良くて、これで仁左衛門さんの勘平が後世に残ることになり、それも嬉しい
二度目でもまんまと泣かされました
そして、改めて二人侍の素晴らしさも実感
今日は勘平が腹を切る寸前の動きをじっくり見たのですが、勘平が「撃ち止めたるは…」と両手を懐に入れる動きに数右衛門がハッとして「勘平は腹を切る気だ」と気づき、目を逸らすのがハッキリと見て取れたのがとても良かったです
状況的に死なせてやるしかないなかで、せめて腹を切る瞬間は目を逸らしてやる武士の情けなのだろう…と
また、連判状を懐から出す直前に弥五郎と目を合わせると、弥五郎が数右衛門の意図を察して立ち上がる、この一連の芝居がとても丁寧で、二人が勘平を思いやる心が端々に表れるからこそ、なおのこと泣けるという
また、勘平が「血判…」と苦しい息を引き継いで「血判確かに受け取ったぞ」と、二人が引き取るように言うやり方も、とても良いですよね
さらに、多くの数右衛門は血判を押すと、さっと懐紙を置いてクルクルと巻いてしまいますが、今月はしっかりと勘平に見せてやる時間が長く取ってあって、それも胸に沁みるポイントになっていると感じました
この二人の名演があって、隼人さんの心のこもった芝居が美しく、悲しいハーモニーを奏でるようで、これは夜の部、追加するしなくね?と思っている次第です
※余談
五段目の開いた直後、とんでもない怒鳴るような叫び声でヨロズヤーっ‼️と声が聞こえて絶望しかけましたが、事情はわからぬものの静かになったのでホッと安心
幕見でないのなら、七段目も静かにしててほしいものです
雀右衛門さんのお才は、やはり優しいニンの方なので、廓の人だけれど、あったかい人に見えるのが面白いですね
時蔵さんだと、遊女に対する割り切りみたいな感覚があって、冷たいわけじゃないが、とりたてて優しくもないという距離感が絶妙で、おそらく、本物の廓の女房なんてのは、こんな感じなんだろうと思わされました
これ、優劣でなく、持ち味の醸し出すものとして、どちらも魅力的だと思います
獅童さんの定九郎は朱鞘で、より古風な型を選ばれてましたね。役者が変わって、異なる型が見られるのは良いですね
獅童さんの古風なお顔にもよく似合っていました
役者さんの部分入れ替えって、大向う的には一番危険なんですよ
いまから見る五段目も隼人さんと橋之助さんはAプロと同じだけど、定九郎だけ獅童さんですからね
たくさん回数を見るほど、刷り込まれちゃうからww
元・大向うの堀越さん retweeted
尾上右近 さんはムファサとの共通点について「求められている姿を演じようとする存在、という意味では似ているのかなと思います。ただ、ムファサは“王になりたい”と思ってなったわけではないですが僕は“歌舞伎界の王になりたい”とはっきり思っているのでそこは違うかもしれません」とコメントしています👑🎭✨
#ライオンキングムファサ #ムファサ #金曜ロードショー
私の中では、勘平は裏門で締め出された瞬間から死に場所を探している人だったのかも知れないと、そんな気がしてきた今日この頃です
例えば無事に与市兵衛が帰宅し、その金を届けたとしても、由良之助は「不忠者の金は受け取らない」として数右衛門と弥五郎を使者に立てて金を突き返しているわけですから、実は勘平は“あの日”から八方塞がりなんですよね
一説には数右衛門と弥五郎は勘平に詰め腹を切らせにきたという話もあるくらいで
落ち着いて六段目を見返すと、勘平は生きて義士の列に加わる道はなかったことになります
彼が生き残る唯一の道は、侍というアイデンティティを捨てて、一人の貧しい猟師としてお軽と暮らすことだったのですよね
高師直のお話ですが…
武智鉄二や八代目三津五郎は史実による背景を大切にした面があり、モデルが高家筆頭の吉良上野介という、行儀作法に厳しい人なのだから、手に持った扇で判官を打ったり、畳をバンバン叩いてはいけないのだという話を残しています
権高で嫌なジジイではあっても、長屋の親爺みたいなことはしないと
とまぁ、理屈ではそうなんですが、やはりほとんどの師直は数回は判官や若狭之助を扇で叩きますよね
そんな中でも十七代目勘三郎はバシンバシン判官も畳も叩きまくりましたが、でも結局それが面白かったりしちゃうのも、芝居なんだよなぁ…と思います
記憶が朧げなのですが、秀太郎さんは大序の顔世で、足袋を履かずに素足で出ていた印象が残っております(義太夫は“素足”と語っているが、これは履き物を履いていない意味だとする方の方が多い気がしています)
その、足袋を履かない白塗りの足が打掛の裾からチラリと見えると、そこになんとも言えない色気がフワっとたちのぼりまして
師直が“小鼻いからせ”ちゃうのも、さもありなんと
元・大向うの堀越さん retweeted
公演チラシ画像もご参照ください
★学生さん(大学生以下)は4,500円なので、良い機会だと思います
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【大和楽】
大和 左京
大和 久子 連中
【東名】
東名 詠舟
東名 訡翔 連中
【長唄】
杵屋 巳津二朗
杵屋 勝司郎 社中
【鳴物】
田中 傳左衛門 社中
元・大向うの堀越さん retweeted
父・中村富十郎への思いを胸に
【壱ろはの会】 ※拡散希望
中村鷹之資さんの妹で、日本舞踊家の芳澤壱ろはさんが、11月15日(日)、渋谷のセルリアンタワー能楽堂で第三回「壱ろはの会」を開催されます
今回、私が特に注目するのは『静と知盛』です
ご存じの方も多いと思いますが、壱ろはさんのお父上、故・中村富十郎さんにとって『船弁慶』は当たり役の一つでした
『静と知盛』は、その『船弁慶』のうち、シテである静御前と平知盛に焦点を当てた舞踊作品。静の優美さと、知盛の凄絶さ。対照的な二つの役を踊り分ける、見応えのある演目です
今回の会について、壱ろはさんご本人から、
こんな言葉をいただきました
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「今回は、
やはり父の『船弁慶』への思いあって、
私は日本舞踊で『静と知盛』に挑みます。
特別な思い入れのある作品です。
ぜひご覧いただきたいと思います。」
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父の芸への思いを胸に、娘が自らの舞台で『静と知盛』に挑む。そこにどんな踊りが生まれるのか…
壱ろはさんの言葉に、期待というだけでは言い表せない、胸の奥がキュッとなるような覚悟を感じました
若い芸術家が、自らの芸を磨き、成長していく姿に立ち会えるのは、歌舞伎を観る楽しみの一つです。そして、日本舞踊にもまた、同じ喜びがあります
ぜひ、若き壱ろはさんの挑戦を一緒に見届けませんか?
※私は昼夜とも、伺います
なお、昼の部は残席わずか、
夜の部は比較的お席が取りやすいそうです
全席指定 10,000円
学生席 4,500円
★チケットのお問い合わせはこちらから★
tennoujiya.com/#contact
【第三回壱ろはの会】
令和8年11月15日(日)
昼の部12:00/夜の部16:30開演
セルリアンタワー能楽堂
一、大和楽 たけくらべ
一、東明 野狐禅
一、長唄 静と知盛
#芳澤壱ろは #壱ろはの会 #中村富十郎 #静と知盛






