上条は拳を振り抜いている真っ最中。ただ頑丈な杖であっても無防備な喉や眼球を一突きされればこちらは終わりだ。ましてそこに魔術の炎が乗ったらどうなるか。答えを想像する暇もなかった。どっっガッッ!!と。学園都市第一位、一方通行の拳が真横からメイザースの頬骨を打ち抜いたからだ(新約21)
上条が口を開く前にイギリス人が何か言い出した。「けけけ、もはや『手伝ってもらえるのは当然』ってお言葉ですねー」「すっかり安全地帯だな」『……二人揃って合挽きにされてェのかクソガキども』声のトーンが二つくらい下がってる。きちんと二つ分。(創約15)
「いえーい!言われると思ったよちくしょう!!っつかどこのどいつだ人の獲物を勝手に横取りして何にも言わずに立ち去っていくなんてよぉ!一体どこまでお馬鹿に格好つければ気が済むってんだ!!」(旧約8/上条)
それに、上条は大悪魔コロンゾンがまだ何か隠しているような気がしてならない。思いもつかない大技、急展開を。迷路の中で右往左往している上条達だけでは想像もできない何かを防がないとまたひっくり返される。上条当麻は思う。そうなると、全てはヤツの回復次第になるかもしれない……。(創約14)
一方通行が気に留めているのは軍勢全体の動きではなかった。その混乱下、いくつかの影がノーマークのまま乱戦の中を抜けたらしい。ケタ外れの大型バイクにまたがっているのは第三位の女と、ツンツン頭の少年だ。「ふン。……底の底で及第点か」(新約22)
原因は右手。真上に掲げたその一本の腕が、漆黒の闇を吹き散らす。「――、」一方通行の唇が微かに歪む。最初の一発目で死ななかった事に、彼は心の奥底で何を思っているのだろうか。自分自身でも明確な答えを出さないまま、一方通行は更に黒い翼を振るう。(旧約20)
もしもクソくだらない『実験』を止めたほどのヒーローが、こんなくだらない理由であっさりと死んだとしたら。一方通行が知る中で最も重要な位置に存在する『悲劇を食い止めるための存在』がこんなにも簡単に失われてしまうとしたら。この世界は。多分もう本当の意味で終わってしまっている(旧約20)
アレイスターはくすくすと笑いながら、「人間なんて矛盾した生き物だろう?悪たる属性の者ほど、あの右手に憧れる。ただしその程度の存在を、あの幻想殺しが選ぶはずもない」「それでか?」「ああ。生ぬるいと思ってもらって構わない。これが、私の戦争なのだ」(新約20)
「ぶっ飛べ!!」今度の今度こそ、であった。学園都市製の少年達の方から頭上の障害物をぶち抜き、一方通行が足元からメイザースへと襲いかかる。それが致命傷になるかは分からない。しかし床が崩れれば下に落ち、あの幻想殺しの射程に収まるという事実は捨て置けない。(新約21)
毒蛇のように襲いかかる一方通行の右手を見た瞬間、宙に浮いたままの上条はそれでもとっさに右手を突き出した。不幸中の幸いか、上条の右手は何とか一方通行の手を払い落とす。たったそれだけの仕草に、一方通行は、何か信じられないようなモノでも見るような目を上条へ向けて(旧約3)
